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色覚に異常があり正常色覚者と色の見え方が違う人は、日本人の男性で約20人に1人、女性では約500人に1人と言われています。その数は日本国内では約320万人になり、身体障害者の総数に匹敵します。また、色覚は年齢と共にその機能は低下し、高齢者に多い白内障や緑内障などでも色覚機能は変化します。超高齢化社会を迎えた日本ではますます色覚に対する配慮が必要となってきます。
そのような現状の中で私たちが携わる印刷物は、デジタル機器の出現により、多色で微妙な色の変化による表現が益々増加する傾向にあり、色覚異常者が混同する色の組み合わせや、識別しづらい表現をしていることに私たちは気付いていません。私たちは知らない間に障壁(バリア)を作っているのです。
私たちはこのような障壁(バリア)を取り除く意識を持ち、表現方法における配慮が必要です。その一方で、正常色覚者に違和感がある表現では印刷物の目的を果たしません。そこでバリアフリーから一歩進んだ考え方で、年齢や身体能力に関係なく、多くの人が識別しやすい「色のユニバーサルデザイン」に取組む必要があります。
情報伝達の担い手として長年培った知識や技術を基本にして、これからの社会にとって必要不可欠な「色のユニバーサルデザイン」に取組むことは、企業としても業界としても意味ある取組みです。
「色のユニバーサルデザイン」がよりよい社会の実現、そして各企業の新たなる取組みへの一助となり、本手引書がこの分野におけるデザイン、技法の進化につながれば幸いです。